みなさんは駅伝と聞くと、何を思い浮かべますか?
箱根駅伝!と答える方も多いかと思いますが、高校駅伝や全国女子駅伝、ニューイヤー駅伝(社会人駅伝)など、駅伝という名前が付く大会はたくさんあります。
そもそもなぜ駅伝と呼ばれるのでしょうか?
どうして駅伝にはたすきが使われるのでしょうか?
改めて聞かれるとはっきりと答えられる人は少ないかもしれませんね。
そういう私もその一人でしたので、気になって調べてみました。
ということで今回は駅伝の語源や由来とともに、駅伝でタスキが使われる理由やルールについて簡単にお伝えしていきますね。
駅伝の語源や名前の由来とは?
それではまず、駅伝の語源や名前の由来について。
日本で初めて駅伝が行われたのは1917年(大正6年)。
そのときの大会名が「東京奠都五十年奉祝東海道五十三次駅伝競走」という名前でした。
名付け親は、神宮皇學館の武田千代三郎さんと言われています。
もともと江戸時代の東海道五十三次では、街の宿駅ごとに「駅馬」と呼ばれる馬が配置されて、交通手段として使われていたのだそう。
そして、乗り継ぎ用の馬として「伝馬」というものが公用の旅行に使われたり、民間の輸送用としても活躍していたといわれています。
江戸時代には、馬が人や荷物を運ぶ役割をしていたんですね。
この駅制と言われる「駅馬」と「伝馬」からヒントを得て、幹線道を人が走るリレーのことを「駅伝」と命名したのではないかと推測されています。
駅伝でたすきを使うのはなぜ?
それでは次に、駅伝でたすきを使う理由について、見ていきたいと思います。
そもそも駅伝というのは長距離リレーのことを言うのですが、リレーと聞くとバトンを思い浮かべる方もいるかもしれませんね。
なぜ駅伝はバトンではなくたすきを使うのでしょうか?
実はたすきを使う理由も、駅伝の由来と関係していると言われているんです。
駅制が設けられていた時代は、使者が馬を乗り継ぎ手紙や荷物を運んでいました。
着物を着て馬に乗るのは、想像しただけでもなんか乗りづらそうですよね。
当時は馬に乗るのに着物が邪魔にならないように襷(たすき)をかけていたとされ、その名残で現代の駅伝でもたすきが使われているという説があります。
また、時代の流れとともに馬を使わずに人の足で運ぶようになり、飛脚と呼ばれる人たちが手紙や荷物を運ぶようになりました。
手紙や荷物は絵柄が付いた木箱に入れて運び、宿駅ごとに常駐している飛脚にリレーして運ぶようになったのが郵便文化の原点とも言われていて、この姿が1本のタスキを受け渡していく「駅伝」に繋がっていると言われている、という説もあります。
駅伝でたすきを使うことについて、はっきりとした理由は分かっていないのですが、こうした歴史を見てみるとなるほどって思いませんか?
駅伝のたすきのルールとは?
それでは最後に、駅伝に使われるたすきのルールについて見ていきたいと思います。
駅伝のルールは日本陸上競技連盟によって細かく決められいて、たすきに関する内容は次のようになっています。
・たすきは布製で、長さ1m600~1m800、幅6cmとする。
・たすきは必ず肩から斜めに脇の下に掛けなければならない。
・たすきは必ず前走者と次走者の間で手渡さなければならない。
・前走者がたすきを外すのは中継線手前から400mから、次走者がたすきをかけるのは中継後200mまでを目安とする。
・たすきをチームが持参する競技会では、事前に大会本部において承認を得なければならない。
※ 日本陸上競技連盟駅伝競走規準(2021年4月修改正) より抜粋
そのほか、たすきを受け渡す際には、
・たすきの受け渡しは中継線から進行方向20mの間に手渡しで行わなければならず、中継線の手前からたすきを投げ渡したりしてはならない。
・たすきを受け取り走者は、中継線の手前の走路に入ってはならない。
・たすきを渡した走者は直ちにコース外に出なければならない。
といったルールもあります。
こうして見てみると、当たり前のように行われていることばかりのように感じますが、2015年1月18日に行われた都道府県男子駅伝において、たすきを投げ渡したことにより失格となってしまったチームがありました。
といっても、タスキを投げようとしたわけではなくて、1区を走った選手がタスキを渡す直前に両手をついて倒れ込み、フラフラになりながらもはいつくばって2区の選手にタスキを渡そうとしたのですが、このときに中継線のわずか手前でタスキを投げる格好になり、2区の選手も空中でタスキを受け取ってしまったことから失格となってしまったのです。
そのときの状況を察すると、何が何でもたすきを渡したい一心での出来事のように思うのですが、中継線の手前から投げてしまったことには変わりないので、ルール上は失格となってしまったんですね。
駅伝の由来&たすきのルールまとめ
駅伝の語源や由来、たすきに関するルールについてまとめてみましたが、いかがでしたでしょうか?
江戸時代の飛脚にまでさかのぼり、現代の郵便や宅配便の原点にも通じるところがあって、とても興味深かったです。
また、たすきを受け渡す際にも細かいルールがあることが分かりました。
たすきを渡したあとに倒れ込んでしまう選手もよく見かけるので、過酷なスポーツだと改めて感じます。
ですが、その過酷さゆえにチーム全員でたすきを繋いでゴールするといった思いが見ている人を感動させるのでしょうね。