箱根駅伝の往路新とはどういう意味?復路新や往路&復路優勝との違いも

 

箱根駅伝では総合優勝をしたチームが大きく取り上げられていますが、総合優勝のほかにも往路優勝、復路優勝といったものがあるのをご存じでしょうか?

そしてその中にも、往路新復路新と呼ばれるものもあるんです。

箱根駅伝にはさまざまな記録が存在しているので、あまり詳しく知らない方からすると混乱してしまうこともあるかもしれません。

そこでここでは、箱根駅伝の往路新、復路新といったことを中心に、初心者の方でも分かりやすく解説していきたいと思います。

 

 

箱根駅伝の往路新とはどういう意味?復路新についても

 

それではまず、箱根駅伝の往路新、復路新の意味についてかんたんにご説明していきたいと思います。

そもそもなぜ、箱根駅伝には「往路」や「復路」といった言葉が出てくるの?というところから話しを進めていきましょう。

箱根駅伝の正式名称は「東京箱根間往復大学駅伝競走」といって、1月2日は東京から箱根までの5区間(往路)1月3日は箱根から東京までの5区間(復路)のそれぞれのコースがあって、合計10区間の走行タイムで競われるものなんですね。

そのため、「往路記録」「復路記録」、そしてその両方を合わせた「総合記録」というものが存在するんです。

これらを踏まえたうえで、往路新、復路新について順番に見ていきましょう。

 

箱根駅伝の往路新(往路新記録)とは?

 

往路、つまり1区から5区の往路区間の合計タイムが、過去の記録を更新した際に往路新(往路新記録)として記録に残るものです。

たとえ、その年の往路優勝のタイムを出したとしても、過去の記録より上回っていなければ往路新と呼ばれることはありません

ただし、往路優勝校として、賞状やトロフィーなどが授与されます。

 

箱根駅伝の復路新(復路新記録)とは?

 

復路、つまり6区から10区の復路区間の合計タイムが、過去の記録を更新した際に復路新(復路新記録)として記録に残るものです。

たとえ、その年の復路優勝のタイムを出したとしても、過去の記録より上回っていなければ路新と呼ばれることはありません

ただし、復路優勝校として、賞状やトロフィーなどが授与されます。

そのほか、往路新・復路新に関することで、往路の1位以下(2位や3位など)でも往路新となることができるの?復路新の記録を出したとしても復路優勝にならないことがあるの?といったよくある質問については、次の見出しの中でもう少し詳しく説明していきますね。

 

箱根駅伝の往路新&復路新に関するよくある質問に答えてみた!

 

それでは次に、箱根駅伝の往路新、復路新に関するよくある質問について解説していきたいと思います。

 

往路新・復路新を出しても往路・復路優勝にならないこともある?

 

往路優勝、復路優勝を手にすることができるのは1チームですので、基本的に新記録を出したチームが往路または復路優勝となります。

※ ただし、新記録を出したチームが複数あった場合には、その中でももっとも速いタイムを出したチームが往路または復路優勝となります。

そのため、新記録を出したチームが複数あった場合には、新記録を出したとしても、トップのタイムではない限り、往路または復路優勝にならないこともあり得るのですよね。

 

それでは第96回大会(2020年)の往路の結果を例に、見ていきましょう。

1位 青山学院大学 5時間21分16秒(往路新)
2位 國學院大學  5時間22分49秒(往路新)
3位 東京国際大学 5時間24分33秒(往路新)
4位 東海大学   5時間24分38秒(往路新)

これまでの往路新記録は、第95回大会(2019年)に東洋大学が出した5時間26分31秒という記録だったのですが、それを4チームが上回る結果となりました。

往路新という意味では、上記の4チームが記録を更新したということになりますが、往路優勝となったのは、もっとも速いタイムを出した1位の青山学院大学でした。

このように、往路新となる記録を出したとしても、トップのタイムを出さない限り、往路優勝ということにはならない、ということなんですね。

復路優勝のケースについても同様になります。

 

往路新や復路新を出すことは、2位や3位のチームでも可能?

 

結論から言うと、往路新や復路新を出すことは、2位や3位のチームでも可能です。

 

往路新記録・復路新記録は、過去の往路記録・復路記録を上回ったタイム記録なので、それぞれの合計タイムが過去最速記録を上回っていれば2位や3位のチームでも可能と言えます。

ただ、初心者の方にはわかりにくいのが復路の場合。

箱根駅伝の難しいところは、ゴール地点でゴールテープを切った通過順位と、実際のタイムを合計した往路や復路、総合順位異なる、ということなのですよね。

5000mや10000m、マラソンといった競技は1人で走り抜けるので、ゴールをした順に順位が決められていきますが、箱根駅伝は1区から2区、2区から3区・・・といった具合にタスキを繋ぎ、往路は1区から5区まで5人の選手が、復路は6区から10区まで5人の選手が走ります。

そして、その最終的な順位というのは、ゴールをした通過順位ではなく、往路と復路はそれぞれ5人が走った合計タイムが、そして総合順位は10人すべての選手の合計タイムを元に順位が決められていくというもの。

往路の場合は1区から全員一斉スタートをして、途中、繰り上げスタートになることも少ないので、多くの場合は5区の通過順位イコール往路順位ということになりやすいのです。

しかし、復路のスタート地点である6区では、往路順位のタイム差で各チームがスタートするチームと、一斉スタートするチームがいるので、1区のように全員が一斉にスタートをするわけではないんですね。

つまり、復路はチームによってスタートする時間が異なるため、先頭を走るチームから遅れてスタートしたチームであっても、6区から10区までを走り抜けたタイムが一番速かったというケースもあるのです。

 

それではさきほどと同じく、第96回大会(2020年)の復路の通過順位と、復路順位の結果を参考に見ていきましょう。

総合順位の上位3チーム

1位 青山学院大学 10時間45分23秒(総合優勝)
2位 東海大学   10時間48分25秒(1位とのタイム差 3分02秒)
3位 国大学院大学 10時間54分20秒(1位とのタイム差 8分57秒)

復路順位の上位3チーム

1位 東海大学   5時間23分47秒(復路新・復路優勝)
2位 青山学院大学 5時間24分07秒(1位とのタイム差 0分20秒)
3位 帝京大学   5時間27分08秒(1位とのタイム差 3分21秒)

このように、1区から10区までの総合順位と、6区から10区までの復路順位では異なることがあるということが分かるかと思います。

では、復路の6区をスタートしたときのタイム差(往路順位)も合わせて見ていきましょう。

1位 青山学院大学
2位 國學院大學 (1位とのタイム差 1分33秒)
3位 東京国際大学(1位とのタイム差 3分17秒)
4位 東海大学  (1位とのタイム差 3分22秒)

なんと、復路新を出した東海大学は往路順位は4位だったので、復路の6区は1番手の青山学院大学から3分22秒遅れでスタートしているんです。

ですが、復路だけの記録を見てみると、東海大学が青山学院大学を20秒上回っています。

結果的に、往路で1位だった青山学院大学が東海大学より3分22秒速くスタートした分、東海大学の追い上げが及ばず、総合タイムでは2位となってしまいましたが、復路だけを見てみると、東海大学が1位になり復路優勝となった、というわけなんです。

このように、総合2位のチームであっても、復路新記録を出すことも可能ですし、復路優勝を獲得することも可能なんですね。

復路の6区をスタートしたときのタイム差があるので、見た目の通過順位と復路順位が異なることがあるというのが、少しややこしいですよね。

 

第96回箱根駅伝(2020年)で往路新記録が多くでた理由も考察してみた!

 

それでは最後に、第96回大会箱根駅伝(2020年)は往路新記録が多く出たことでも話題になりましたが、その理由について、私なりに考察してみたことをまとめていきたいと思います。

もう一度、往路で新記録を出した上位4チームをタイムと合わせて見てみましょう。

1位 青山学院大学  5時間21分16秒 ※往路新
2位 國學院大学   5時間22分49秒 ※往路新
3位 東京国際大学  5時間24分33秒 ※往路新
4位 東海大学    5時間24分38秒 ※往路新

(※これまでの往路記録:東洋大学 5時間26分31秒 2019年)

このように、往路では上位4チームが往路新記録を出しました。

記録が更新されるということだけでも凄いことなのに、1度に4チームも新記録を更新できたのはなぜなのでしょうか?

考えられる4つの理由について、まとめてみました。

 

1. 選手のレベルアップ(トレーニング方法・トレーニングマシーンの進化)

 

近年では、トレーニング施設が充実していたり、体力面だけではなく、メンタル面においてもサポートを行うなど、練習環境が恵まれている大学が多くあります。

また、陸上に取り組む姿勢などの意識改革を行うことで、選手一人ひとりの力を向上させ、チーム力の底上げを計っている大学も多いことから、全体的に選手のレベルがアップしているというのも、多くの記録が更新された要因だと考えます。

 

2. コースや距離の変更

 

第93回大会(2017年)から往路で大きなコース変更が行われ、それまで4区は18.5kmだったものが20.9kmに、5区は23.2kmだったものが20.8kmに変更されました。

5区は山上りの区間とも言われていて、高低差も激しく低体温症になる選手が多数発生していたことから、5区の区間距離が短縮されたのですが、変更されてから3年経ち、各チームがコースを攻略し始めたというのも、スピードアップに繋がったのではないでしょうか。

 

3. 天候の影響

 

2020年1月2日の東京の天候は晴れで、冬の寒さはあるものの、比較的暖かく風も穏やかで、選手にとっては走りやすい天候だったようです。

日中は10度を越える暖かさだったということからも、過ごしやすい天候だったことが分かります。

天候に恵まれたというのも、全体的にタイムが伸びた要因になったと考えられます。

 

4. シューズの影響

 

往路新・復路新と合わせて、各区間においても区間新記録が多く出た今大会。

なんと、第96回大会(2020年)の箱根駅伝に出場した選手のうち8割がナイキの厚底シューズ「ヴェイパーフライ」を使用していたのだそうです。

このシューズにはカーボンファイバー製のプレートが入っていて、前方向への推進力を生み出す力に優れているというもの。

好記録が次々に生み出されたのは、この「ヴェイパーフライ」も大きく影響しているということが言えそうです。

(※)国際陸連が競技会での使用を禁止する旨を発表したため、今後のシューズ選びに注目が集まりそうですね。

 

箱根駅伝の往路新&復路新まとめ

 

箱根駅伝の往路新記録・復路新記録について、よくある質問の解説なども交えながらお伝えしてきました。

ゴールをした順番ではなく、往路と復路、そしてトータルのタイムで競われる競技なので、総合で2位だったとしても復路でもっとも速いタイムを出していれば、復路優勝となることがあるんですね。

次に記録が更新されるのはいつ?と期待を寄せるのも、箱根駅伝の楽しみ方の一つなのではないかなと思います。

 

箱根駅伝のルールや出場校について詳しく知りたい方はこちら

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