駒澤大学が総合優勝を飾った第97回大会箱根駅伝(2021年)。
往路では創価大学が初めて往路優勝を果たし、最終10区では駒澤大学が追い上げからの劇的な総合優勝は、記憶に新しいという方も多いのではないでしょうか。
そんな第97回大会で留年をして箱根駅伝に出場した選手がいたことを知っていましたか?
浪人してから大学に入学する人や、社会人を経験してから大学に入学する人もいますから、大学生といってもいろんな年代の人がいるというのはごく自然なことですよね。
でも、ひとつの競技として見た場合、同じ学年でも年齢が上だったりするとチーム内でも気を遣ったりしてしまいそうです。
箱根駅伝は大学4年間の間で行われているというイメージもありますから、年齢制限について気にしたことがなかった、そんな方もいるかもしれません。
そこでここでは、箱根駅伝には留年した学生も出場できるのか?ということで、箱根駅伝の参加資格について詳しく見ていきたいと思います。
箱根駅伝に留年した学生は出場できる?ルールではどうなってる?
それではまず、箱根駅伝の出場資格について簡単に見ていきたいと思います。
箱根駅伝の出場資格を分かりやすく要約すると次のようなことが書かれています。
【箱根駅伝の出場資格】
・所属している大学が関東学連加盟校であること
・競技者としての登録が完了していること
・出場申し込み回数が予選会のみの場合も含めて4回を超えていないこと
このほかにも細かい規約があるのですが、一部を抜粋するとこのような内容になっています。
つまり、出場回数の上限は決まっていますが、年齢については触れられていないことが分かります。
箱根駅伝の歴史をさかのぼってみると、第68回大会(1992年)までは28歳以下という年齢制限があったということなのですが、第69回大会(1993年)から廃止されているということで、現在は箱根駅伝の出場資格に年齢制限はありません。
重要なのは大学在学中における箱根駅伝の出場回数
出場資格の中でもっとも重要なのは、出場申し込み回数が予選会のみの場合を含めて4回を超えているか、超えていないか、ということになるのではないかと思います。
たとえば、
1.大学4年間のうち、箱根駅伝に出場したのが2回だった学生は、留年したあとも出場することができる。
2.大学4年間で、4年連続箱根駅伝に4年連続出場した学生は、留年したとしても箱根駅伝に出場することはできない。
このようなイメージになるのではないかと思います。
留学した学生は箱根駅伝に出場できる?
留学した学生は箱根駅伝に出場できるのでしょうか?
結論:箱根駅伝に出場した回数が4回を超えていないければ、出場することができます。
参考
東京箱根間往復大学駅伝競走 競技者の参加資格Wikipedia
箱根駅伝に過去に留年した学生が出場したことはある?
それでは次に、過去に留年した学生が箱根駅伝に出場した、ふたつのケースについてご紹介したいと思います。
第97回大会(2021年)青山学院大学:竹石尚人選手
大学2年・3年と5区を走っていた竹石尚人選手でしたが、4年生の秋、ふくらはぎを故障してしまい、万全の状態で箱根駅伝に臨むことができなくなってしまいました。
チームとしては、本番までに回復できる可能性を考えていましたが、箱根駅伝のエントリーメンバーの枠を削るわけにはいかないと判断した竹石尚人選手は自らメンバーから外れることを決意。
このときすでに、生命保険会社への就職が決まっていたのですが、留年する道を選び5年生として箱根駅伝に出場しました。
チームの間では「竹石さん」と呼ばれていたそうですが、少しずつ一人の4年生として受け入れられていくのを感じたのだそうですよ。
第90回大会(2014年)山梨学院大学:森井勇磨選手
大学4年生のとき、箱根駅伝の直前に左足甲の疲労骨折が判明し、初めてのエントリーだったにも関わらず箱根駅伝への夢が途絶えてしまった森井勇磨選手は、「箱根に出るまではやめられない」ということで、留年して箱根駅伝に挑戦したいということをご両親と監督に相談。
留年するのは「1年だけ」という監督の了解を得て、5年生となった年に箱根駅伝に出場しました。
「留年して箱根駅伝に出た」という言葉だけを聞くと、そんな簡単に留年して箱根駅伝に出れるの?と思いますが、やっぱり実際は気持ちの葛藤もあったと思いますし、周りの理解も必要なんだな、というのも感じました。
個人的には留年してまでも箱根駅伝に出たいという思いを尊重したいと思うのですが、やはり反対的な意見もあるようです。
どのような意見があるのでしょうか、次の見出しで見ていきましょう。
箱根駅伝に留学してまで出場するのはずるい?他の選手への影響も?
さきほどは、留年をして箱根駅伝に出場した選手についてご紹介しましたが、留学してまで箱根駅伝に出場するなんでずるいのでは?年齢制限があった方がいいのでは?そんな意見も少なくないようです。
それではチーム内に留年した学生がいることで、どのようなことが懸念されるのでしょうか、少し考えてみたいと思います。
留年した学生がいることによるチーム内の影響は?
留学した学生がいることによって大きな影響があるとすれば、箱根駅伝の出場枠ということになるのではないかと思います。
箱根駅伝に出場できるのは10人ですから、将来が期待される1年生や2年生に経験を積んでもらいたいと思っていても、留年をしてまで箱根駅伝にリベンジしたいという学生がいれば、監督さんとしても頭を悩ませるところですよね。
もちろん、箱根駅伝が行われるまでの成績が悪ければ、たとえ留年していたとしても箱根駅伝の出場メンバーから外れることもあるかもしれません。
そういったことも踏まえて、トレーニングや体調管理をしっかりしないといけませんし、留年するという決意は相当な覚悟がいることだと思います。
また、青山学院大学の竹石尚人選手をご紹介した際にも触れましたが、同じ4年生でも年齢が上なので「竹石さん」と呼ばれていたことを考えると、私が感じていたように、後輩の学生たちが気を遣っていることも伺えますね。
ただでさえ、4年生が卒業した後のチーム作りというのは大変なイメージがあるのに、それに加えてチームがまとまるための課題が増えることを考えると、山梨学院大学の監督さんが言っていたように「1年だけ」という約束をするのも分かるような気がします。
このように、箱根駅伝の出場枠が一つ減ることや、箱根駅伝への出場は確約されていないこと、そして、チームメイトへの心理的影響などを考えると、留年生を受け入れるということはチームにとって必ずしもプラスになるとは言えないのかもしれません。
だからといって、ルール上は留年して箱根駅伝に出場することは認められていますので、実際は本人の意思や監督さんの判断に委ねられることになるでしょう。
箱根駅伝のルールに年齢制限はないとはいえ、毎年のように留年して箱根駅伝に出場する学生が多いわけではありませんから、ルールにはないけれど基本的には大学4年間で箱根駅伝を戦うという意識がみなさんの中にあるのではないでしょうか。
そういう意識があるからこそ、留年して箱根駅伝に出場したという話を聞くと過剰に反応したり反対したりする意見が飛び交うのではないかなと思います。
箱根駅伝と留年問題についてのまとめ
箱根駅伝の留年問題について、公式ルールや過去に留年して箱根駅伝に出場した選手をご紹介してきました。
ここではふたりの選手についてご紹介しましたが、いずれのチームも留年した選手に対しては協力的で前向きな対応をされていたのは素晴らしいと思いました。
留年をするというのは、就職先やチームメイトのことを考えると簡単なことではありませんし、万が一怪我をしてしまったら箱根駅伝への出場を逃すかもしれないというリスクも考えての大きな決断だと思うと、留年した学生を責めることはできないなとも思いますよね。
ですが、2年も3年も、というと話しは変わってくる気がするので、留年したとしても1年がベストではないかと私は感じました。