箱根駅伝の復路(6区)のスタートは、往路(1区)の時とはスタートの仕方が違いますよね。
なぜ全チーム一斉のスタートではないのでしょうか?
また、復路のスタートが今のようなスタイルになったのは、いつからなのでしょうか?
他にもこれまで復路で一斉スタートした最多記録は何チームかという疑問や、たすきや記録はどうなるのかといった、復路のスタートに関して気になったことを調べてみました。
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【超初心者】箱根駅伝の復路一斉スタートとは?
箱根駅伝の復路一斉スタート(繰り上げ一斉スタート)の意味とは?
箱根駅伝の復路(6区)のスタートは、往路(1区)のスタートとは違って、全チームが一斉にスタートするわけではありません。
実は復路のスタートの方法はルールで決められていて、2パターンのスタートの仕方があるんですよ。
箱根駅伝のルールでは、復路の6区をスタートする場合に
① 1位とのタイム差が10分以内の大学は時差スタート
② その他の大学は1位のスタートから10分後に同時出発する
と決められていて、この②の同時出発のことを『復路一斉スタート』とか、『繰り上げ一斉スタート』といいます。
復路のスタートについては、復路一斉スタート、繰り上げ一斉スタート、復路繰り上げスタートともいわれているので、呼び方がいろいろあって混乱しますよね。
往路の1区が全チーム一斉スタートなのに比べて、復路の6区では1位からのタイム差が10分以内か、超えているかによって、2パターン(時差スタートと一斉スタート)のどちらかのスタートに分けられるということなんです。
第100回東京箱根間往復大学駅伝競走
[2] 交通流動の円滑化及び事故防止対策
競技実施要項2. 繰り上げ出発
2) 復路のスタートは、往路において 1 位チームのフィニッシュから 10 分以内にフィニッシュしたチームは時差出発を行い、その他のチームは往路 1 位のチームがスタートした 10 分後に同時出発を行う。
具体例として、2021年の第97回箱根駅伝の記録をもとに表にしてみましたので、参考になさってください。
箱根駅伝2021の復路のスタートを表にしてみた!
箱根駅伝2021の復路のスタート | |||
往路 順位 | 大学名 | 往路記録 | 1位との タイム差 |
1位 | 創価大学 | 5時間28分08秒 | ー |
以下10分以内まで時差スタート | |||
2位 | 東洋大学 | 5時間30分22秒 | 2分14秒 |
3位 | 駒澤大学 | 5時間30分29秒 | 2分21秒 |
4位 | 帝京大学 | 5時間30分39秒 | 2分31秒 |
5位 | 東海大学 | 5時間31分35秒 | 3分27秒 |
6位 | 東京国際大学 | 5時間32分06秒 | 3分58秒 |
7位 | 順天堂大学 | 5時間33分31秒 | 5分23秒 |
8位 | 神奈川大学 | 5時間33分40秒 | 5分32秒 |
9位 | 國學院大學 | 5時間34分52秒 | 6分44秒 |
10位 | 拓殖大学 | 5時間35分01秒 | 6分53秒 |
11位 | 早稲田大学 | 5時間35分12秒 | 7分04秒 |
12位 | 青山学院大学 | 5時間35分43秒 | 7分35秒 |
13位 | 城西大学 | 5時間35分44秒 | 7分36秒 |
14位 | 明治大学 | 5時間36分03秒 | 7分55秒 |
15位 | 日本体育大学 | 5時間36分38秒 | 8分30秒 |
16位 | 法政大学 | 5時間37分14秒 | 9分06秒 |
17位 | 国士舘大学 | 5時間37分48秒 | 9分40秒 |
以下、1位から10分後に一斉スタート | |||
18位 | 山梨学院大学 | 5時間38分38秒 | 10分30秒 |
19位 | 中央大学 | 5時間39分17秒 | 11分09秒 |
20位 | 専修大学 | 5時間49分56秒 | 21分48秒 |
参考 | 関東学生連合 | 5時間45分46秒 | 17分38秒 |
参考 過去の記録 第97回大会 2021年(令和3年)箱根駅伝公式サイト
以上、復路のスタートのルールを表から理解していただけたでしょうか?
では、そもそもなぜこのようなルールがあるのでしょうか。
全チーム合わせても21チームしかないのだから、復路(6区)のスタートだって、往路(1区)のスタートと同じように全チーム一斉スタートでも問題ないのでは?と思う人もいますよね。
私もそう思っていたのですけど、箱根駅伝は公道を使っていますよね。
また、走る距離も長いため、長距離にわたって交通規制されています。
お正月中なので普段の平日よりも交通量は少なくなるとはいっても、少なからず渋滞は避けられません。
ルールでも「交通規制の円滑化及び事故防止対策」のための決まりとなっているのですよ。
また、復路も全チーム一斉スタートにしてしまうと見た目の順位と、実際のタイムとに違いが出すぎるという別の問題が出てきてしまいます。
長時間交通規制するのは出来るだけ避けたい、でも全チーム一斉スタートするのも問題がある、そういったいろいろな状況や問題を鑑みて、現行のルールになっているということなのでしょうね。
実は復路のスタートにおいて、全チーム一斉スタートを行っていた時期もあるのですよ。
続く見出しでは、今のルールはいつから始まったのか?
過去において全チーム一斉スタートを行っていた時期がある、ということについてもお伝えしますね。
復路のスタートが現在のルールになったのはいつから?
現在の復路のスタートのルールになったのは、いつからなのでしょうか?
復路のスタートに関しては、過去においていろいろ試行錯誤されてきました。
現在のルールの復路のスタートにおいて、「1位とのタイム差が10分を超えたチームは、1位のスタートから10分後に一斉スタートする」ようになったのは、1984年の第60回大会から。
それ以前は、一斉スタートするボーダーラインのタイム差を何分にするか?
毎年のようにいろいろと変えては試行錯誤していました。
試行錯誤の中、全チーム一斉スタートも試した時期があったのですよ。
1966年の第42回大会~1975年の第51回大会の10年間は、復路のスタートにおいて8時00分に全校一斉スタートを行っていました。
10年もの間試行してみてどのような結論に至ったのでしょうか?
現在までそのルールが継続していない時点で察することが出来ますけれど、往路のタイム差がすべて一旦リセットされてのスタートになるので、見た目の順位と実際の総合順位があまりに違いすぎるということで、廃止に至ったようですね。
現行のルールでさえも、復路の一斉スタートに、繰り上げスタートしたチームも混ざって、走っている順位と、実際のタイム合計での順位が違うことに混乱するので、全校一斉スタートならそれ以上のややこしさになるのも容易に理解できます。
箱根駅伝のルールも、初めからきっちりと決まっていたのではなく、様々な試行錯誤があり今に至っているというのも興味深いですよね。
過去最多の復路一斉スタートの記録は何校?
復路のスタートの時に、今までで一番多く復路一斉スタートしたチーム数の記録は何校なのでしようか?
また、記録的な復路一斉スタートチーム数を出した年はいつなのでしょうか?
復路の一斉スタートに関しては、試行錯誤されてきたというのもあり、年によってルールの変移があるので同じ基準で全大会を比較できない面もあるのですよね。
なので現在のルールである、「1位とのタイム差が10分を超えたチームが、1位スタートから10分後に一斉スタートする」ルールに変更となった1984年の第60回大会から、2024年の100回大会までの期間で調べてみました。
1984年60回大会~2024年100回大会の間の復路一斉スタート最多数は、1994年70回大会と第100回大会の16校。
第70回大会で往路優勝した山梨学院大学のタイムは5時間30分22秒、5位の東京農業大学が5時間41分49秒だったので、5位~20位までの16校が復路一斉スタートになってしまったのです。
出場校20校のうちの16校が復路一斉スタートって、かなりの数ですよね。
第100回箱根駅伝記念大会も往路優勝した青山学院大学のタイムは5時間18分13秒、8位の大東文化大学が5時間28分54秒だったので、8位~23位までの16校が復路一斉スタートになってしまいました。
※ 第100回大会は記念大会ということで通常よりも3校多い23校が出場しました。
復路の一斉スタートは、1位の大学チームとのタイム差が10分を超えた時に適用されるルールなので、1位の大学の往路のタイムが速い時は、どうしても復路で一斉スタートになる大学チームが多くなってしまうのです。
復路一斉スタートの際にたすきはどうなる?
復路のスタートの際、復路一斉スタート(繰り上げ一斉スタート)の場合に、たすきはどうなるのでしょうか?
中継所での繰り上げ出発(繰り上げスタート)と復路の一斉スタート(繰り上げ一斉スタート)を混同している人もいるようなのですけれど、復路のスタートの場合には大学のたすきを掛けてスタートします。
中継所でたすきを繋げることができない繰り上げスタートと、復路の一斉スタートはそれぞれ違う、別のルールなのですよ。
復路のスタートの場合は、交通規制を緩和するために本来のスタート時間を繰り上げて、1位のスタートから10分後に一斉にスタートしているだけなので、たすきが途切れてしまったわけではないので安心してくださいね。
ただ、往路の中継所において繰り上げスタートになってしまった大学チームの選手は、自分の大学のたすきではなく、大会本部が用意する黄色と白色のストライプのたすきを掛けて復路(6区~9区)を走ります。
※ 上記の場合でも中継所での繰り上げスタートのルールで、往路の5区・復路の10区だけは、自分の大学のたすきを掛けて走ることが許されているんですよ。
第100回東京箱根間往復大学駅伝競走 競技実施要項
[1] 概 要1. 服 装 アスリートビブス た す き
5) 繰り上げ出発のチームは、主催者が用意する黄色と白色のストライプのたすきを使用する。
ただし、5 区、10 区は各チーム独自のたすきを使用する。
なお、途中棄権したチームも、次区間からは主催者が用意する黄色と白色のストライプのたすきを使用し、10 区のみ各チーム独自のたすきを使用する。
中継所での繰り上げ出発(繰り上げスタート)に関しては、以下の記事で詳しく書いていますのでよかったらご覧くださいね。
箱根駅伝の繰り上げスタートについて詳しくはこちら
>>>箱根駅伝の繰り上げスタートの意味やルール
箱根駅伝の繰り上げスタートの意味やルールとは?逆転優勝の可能性は?
復路一斉スタートの場合の記録はどうなるの?
復路のスタートで、一斉スタートした大学の記録はどうなるのでしょうか?
結論から言うと、個人のタイム記録も、チームのタイム記録も公式記録になります。
復路一斉スタートで、スタートする時間が1位から10分後だとしても、6区を一斉スタートした時間から計測して7区の中継点まで完走すれば、6区から7区まで走るのにかかった時間が6区のタイム記録ということ。
箱根駅伝はあくまでもタイムの早さで競っているので、スタートする時差とか一斉スタートしたとかは関係なく、6区をスタートして7区の中継点に到達するまでのタイムで考えるようにするといいですよ。
チームの記録は各走者の区間タイムの合計で、繰り上げスタートした場合でも同じなので覚えておいてくださいね。
箱根駅伝がタイムの早さで競っているのが分かりやすいと感じた動画がありましたので、参考までに。
※ 第98回箱根駅伝(2022年)の記録を元にした動画になります。
箱根駅伝の斉と繰り上げスタートの順位についてはこちら
>>>箱根駅伝の斉とは?繰り上げスタートとの違いや順位
箱根駅伝の斉とは?繰り上げスタートとの違いや順位についても
復路一斉スタートの場合の順位はどうなる?
復路一斉スタートの場合の順位はどうなるのでしょうか?
これもよくある質問なのですけれど、順位というのはタイムで決まるので、復路一斉スタートしたとしてもタイム記録は公式記録になるのと同じように、途中棄権でなければ順位も公式記録となります。
ただ、見た目の順位とタイムでの順位が違う場合があるので、復路で一斉スタートした大学チームが5位でゴールしても、正確な合計タイムでは3位とか、7位とかになったりすることがあるのですよね。
なので、往路の合計タイムと復路の合計タイムを足したのが総合タイムになるということを覚えておいてくださいね。
箱根駅伝の復路一斉スタートまとめ
復路6区のスタート時に、1位の大学からタイム差が10分を超えた大学は、1位の選手がスタートした10分後に同時出発することを『復路一斉スタート』ということが分かりましたね。
復路一斉スタート、繰り上げ一斉スタート、復路繰り上げスタート、復路繰り上げ一斉スタートなどと呼び方がいろいろあるので、混乱していた人もいるかもしれません。
また、中継所での繰り上げ出発(繰り上げスタート)も繰り上げという同じ言葉が使われるので、ごっちゃになっていたかもしれませんね。
私自身もよくわかっていなかったので、調べてみて勉強になりました。
全体の大学のレベルに差がなくなっていけば、復路一斉スタートする大学も減るので、そうなってほしいなと個人的には願っています。
箱根駅伝のルールや出場校について詳しく知りたい方はこちら
今までで最多の復路一斉スタートの記録は何校?
の所で、山梨学院大学は往路優勝ですよね
可能であれば訂正願います
野島和也さん
ご指摘いただきありがとうございます。
おっしゃるとおり、往路優勝でした。
間違いに気づかず教えていただきとても助かりました。
往路優勝に訂正させていただきました。