箱根駅伝のテレビ中継を見ていると、「シード権」とか「シード権争い」、または「シード校」という言葉を多く耳にします。
箱根駅伝を見始めてまだ日が浅いという方にとっては、耳慣れない言葉かもしれません。
箱根駅伝は、たすきを途切れることなく最後まで繋ぐという目的もありますが、実はシード権を獲得するというのも目的の一つであり、非常に重要なんですよ。
ということで、シード権とは何か?なぜ獲得することがそれほど重要なのか?という点について、分かりやすく説明したいと思います。
更に、2020年箱根駅伝のシード権を獲得している大学についてもご紹介しますね。
初心者はこちらで箱根駅伝のルールや基礎知識を学んでおくと、より観戦を楽しめます。
目次
箱根駅伝のシード権のルールとは?何位までが獲得できるの?
まず、箱根駅伝とシード権のルールについて説明しましょう。
箱根駅伝とは、『東京箱根間往復大学駅伝競走』の略で、主催は関東学生陸上競技連盟、出場校は全て関東の大学で関東学連加盟校以外の大学は出場できません。
毎年、1月2日と3日の2日間に渡って往路と復路を走り、その総合成績で順位が決まります。
そして、その年の箱根駅伝で総合成績上位10校には、翌年度も確実に箱根駅伝に出場できる権利が与えられます。
それが「シード権」。
シード権を獲得した上位10校は、「シード校」とも呼ばれます。
箱根駅伝は、記録が残らないオープン参加である関東学生連合チームを除いた、20校で競われます。
20校のうち10校が前回大会の総合成績上位10校、つまりシード権がある大学ということになるんですよ。
では、残りの10校はどのようにして選ばれていると思いますか?
毎年10月、箱根駅伝の残り10校の出場枠をかけた予選会が行われているのです。
この予選会にエントリーする大学は40校余り、2019年に行われた予選会では43校がエントリーしました。
そしてこの予選会の上位10校が、晴れて箱根駅伝に出場できます!
その数字だけを取って見ても、とても狭き門であることが想像できますよね。
そうなると、翌年度の箱根駅伝に確実に出場できるシード権が、よりいっそう魅力的に見えてきませんか?
箱根駅伝ビギナーくん
超初心者は、箱根駅伝ビギナーくんとさくきよが、会話形式で説明しているこちらの記事のほうが分かりやすいかも?
>箱根駅伝のシード権のルールついて超初心者にも分かりやすく解説!

箱根駅伝のシード権を獲得することが重要である理由とは?
翌年度の箱根駅伝に確実に出場できる権利をシード権と言うことは、もう分かりましたよね。
そして、シード権がない大学は、予選会を通過しなければならないということもお分かりいただけたと思います。
この予選会も近年は全体の実力が上がってきていて、箱根駅伝本番さながらに準備をして迎えないと、上位は狙えないとも言われてるんですよね。
10月の予選会を通過したとしても箱根駅伝までは2ヶ月余り、選手の疲労回復と再び箱根駅伝に向けて立て直さなければならないという課題が出てきます。
また、予選会に向けては8月頃から調整をしなければならないとも言われていて、これは選手や駅伝メンバーを選出するチームにとっても、大きな負担となっているようなんですよね。
学生三大駅伝と呼ばれる「10月の出雲駅伝」「11月の全日本大学駅伝」「1月の箱根駅伝」、この中の全日本大学駅伝の関東の予選会は6月に行われます。
こうした年間スケジュールの中、選手が何度も万全の状態で、大会にピークを持っていくのは容易なことではないのです。
予選会に出場する必要がなければ、選手やチームにかかる負担も軽減されますよね。
そうすれば出雲駅伝や、全日本大学駅伝に向けても調整がしやすくなりますから、こういった理由からもシード権は重要になってくると考えられるんです。
少し見方を変えると、箱根駅伝は関東の大学しか出場しない、いわば関東ローカルの駅伝にも関わらず全国放送されています。
シード圏内を走っている10位以内の大学は、テレビ中継でも多く映し出されますよね。
そうなれば、大学の名前は日本各地に知れ渡ると当時に、駅伝が強いというブランドも付ついて、その大学に入る新入生の増加も期待できますし、実際に関東の大学とはいえ、出身高校が東北や関西、九州の選手が多いこともそのことを証明しています。
シード圏内を走っていてテレビにも良く映ることで大学の宣伝効果にも繋がり、さらにシード権を獲得すれば予選会が免除になり、大きな大会に向けてチームとしての目標が明確になるというのは、メリットとしてはかなり大きいといえるのでは?
このようにシード権を獲得することは、箱根駅伝だけの特権ではなく、大学そのものや駅伝チームを作り上げる上でとても重要なのです。
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箱根駅伝のシード権 2021年のシード校一覧
それでは次に、総合順位とともに箱根駅伝第97回大会 2021年のシード権を獲得したチームについても見ていきましょう。
【箱根駅伝2020の総合順位と2021年 第97回箱根駅伝シード権獲得チーム】
第97回箱根駅伝 2021年のシード権を獲得した10校は、以下になります。
1位 | 青山学院大学 | 10時間45分23秒 |
2位 | 東海大学 | 10時間48分25秒 |
3位 | 國學院大學 | 10時間54分20秒 |
4位 | 帝京大学 | 10時間54分23秒 |
5位 | 東京国際大学 | 10時間54分27秒 |
6位 | 明治大学 | 10時間54分46秒 |
7位 | 早稲田大学 | 10時間57分43秒 |
8位 | 駒沢大学 | 10時間57分44秒 |
9位 | 創価大学 | 10時間58分17秒 |
10位 | 東洋大学 | 10時間59分11秒 |
以上、1位から10までのチームが箱根駅伝2021のシード権を獲得しました。
おめでとうございます!
第97回箱根駅伝予選会の結果!箱根駅伝2021出場決定10校は?
2020年10月17日に行われた第97回箱根駅伝予選会にて、箱根駅伝に出場する残りの10校が確定しました!
【箱根駅伝予選会2020 2021年 第97回箱根駅伝に出場が確定したチーム】
第97回箱根駅伝予選会で箱根駅伝2021に出場が決定した10校は、以下になります。
順 位 | 大 学 名 |
1位 | 順天堂大学 |
2位 | 中央大学 |
3位 | 城西大学 |
4位 | 神奈川大学 |
5位 | 国士舘大学 |
6位 | 日本体育大学 |
7位 | 山梨学院大学 |
8位 | 法政大学 |
9位 | 拓殖大学 |
10位 | 専修大学 |
上記の大学10校+関東学生連合チームの合計11チームが、2021年の箱根駅伝に出場します。
過去・箱根駅伝のシード権2017~2020年の獲得校一覧
過去にシード権を獲得した大学も振り返ってみましょう。
第96回2020年箱根駅伝のシード権獲得校(第95回2019年箱根駅伝の1位~10位)は以下になります。
1位 | 東海大学 | 10時間52分09秒 |
2位 | 青山学院大学 | 10時間55分50秒 |
3位 | 東洋大学 | 10時間58分03秒 |
4位 | 駒澤大学 | 11時間01分05秒 |
5位 | 帝京大学 | 11時間03分10秒 |
6位 | 法政大学 | 11時間03分57秒 |
7位 | 國學院大學 | 11時間05分32秒 |
8位 | 順天堂大学 | 11時間08分35秒 |
9位 | 拓殖大学 | 11時間09分10秒 |
10位 | 中央学院大学 | 11時間09分23秒 |
第95回2019年箱根駅伝のシード権獲得校(第94回2018年箱根駅伝の1位~10位)は以下になります。
順 位 | 大 学 名 |
1位 | 青山学院大学 |
2位 | 東洋大学 |
3位 | 早稲田大学 |
4位 | 日本体育大学 |
5位 | 東海大学 |
6位 | 法政大学 |
7位 | 城西大学 |
8位 | 拓殖大学 |
9位 | 帝京大学 |
10位 | 中央学院大学 |
第94回2018年箱根駅伝のシード権獲得校(第93回2017年箱根駅伝の1位~10位)は以下になります。
順 位 | 大 学 名 |
1位 | 青山学院大学 |
2位 | 東洋大学 |
3位 | 早稲田大学 |
4位 | 順天堂大学 |
5位 | 神奈川大学 |
6位 | 中央学院大学 |
7位 | 日本体育大学 |
8位 | 法政大学 |
9位 | 駒澤大学 |
10位 | 東海大学 |
第93回2017年箱根駅伝のシード権獲得校(第92回2016年箱根駅伝の1位~10位)も参考までに。
順 位 | 大 学 名 |
1位 | 青山学院大学 |
2位 | 東洋大学 |
3位 | 駒澤大学 |
4位 | 早稲田大学 |
5位 | 東海大学 |
6位 | 順天堂大学 |
7位 | 日本体育大学 |
8位 | 山梨学院大学 |
9位 | 中央学院大学 |
10位 | 帝京大学 |
比べてみると毎年必ずシード権を獲得している大学もあり、シード権をそういった強豪校と戦って勝ち取るというのはかなり厳しいと感じます。
とはいえ、勝負の世界は何があるか分かりません。
だからこそ毎年楽しみに観てしまうのですよね。
箱根駅伝のシード権の意味やルール&重要である理由まとめ
これまでの箱根駅伝の記録を見てみると、シード権を獲得している大学の半数以上は、その前の年からシード権を持ち続けているということが分かりました。
優勝ももちろん大切ですが、それ以前にシード権を獲得することも、翌年以降のレース展開を有利に運ぶための大事な要素なのだと強く感じました。
それだけにシード権を逃すということは、大きなダメージになるのでしょうね。
シード権がある大学は続けてシード権を獲得できるよう、またシード権がない大学は次こそシード権を獲得できるよう、頑張って欲しいと思います。
「風が強く吹いている」を見ていて、シード権を獲得しても翌年メンバーが10人未満になった場合は?
青年実業家さん、コメント頂きありがとうございます。
「シード権を獲得しても翌年メンバーが10人未満になった場合は?」という質問にお返事させていただきますね。
実は、箱根駅伝は毎年『東京箱根間往復大学駅伝競走 開催要項』、『同競技 実施要項』ならびに『同駅伝競走に関する内規』に基づいて実施されています。
※以下は、第 96 回東京箱根間往復大学駅伝競走の競技実施要項・内規から引用した内容です。
” 第 96 回東京箱根間往復大学駅伝競走
競技実施要項
[1] 概 要
2. 走行方法
1) 各チームとも、各区間 1 名の競技者で競走し、伴走は一切認めない。
2) 各競技者とも出場は 1 区間に限る。 ”
https://api.hakone-ekiden.jp/storage/top_setting/tournament/48.pdf
出典:東京箱根間往復大学駅伝競走公式HP 第 96 回東京箱根間往復大学駅伝競走 競技実施要項
”
東 京 箱 根 間 往 復 大 学 駅 伝 競 走 に 関 す る 内 規
第5章 競技細則
第15条(概要、走行方法)
①各校各区間とも1名の競技者で走行し、伴走は一切認めない。
②各競技者とも走行は1区間に限る。 ”
https://web.archive.org/web/20141015153600/http://www.kgrr.org/event/2006/kgrr/83hakone/83naiki-new.pdf
出典:Wayback Machine 東 京 箱 根 間 往 復 大 学 駅 伝 競 走 に 関 す る 内 規PDF
各区間1名の競技者で、しかも各競技者の出場は1区間のみとあり、言い換えると、10区間を10人の競技者で走ることがルールで定められているんですね。
上記から、実際に競技に参加するのが10人未満では参加資格がないと考えられます。
現実的に考えて、シード権を獲得しても翌年の箱根駅伝(当日含む)までにどのような問題やトラブルが起こるか分からないので、もしもの時を考えて補欠メンバーを予めチームに加えておくのはリスクヘッジの上でも重要なことと言えます。
そういう事態も当然想定して、エントリーできる選手に関して『正競技者10 名 補欠競技者6 名以内』と、実際に走る正競技者に加えて補欠競技者も6名以内までエントリー可能になっているのかと。
参加資格に関しては他にも細かな規定がありますので、サイト内で具体的にケースバイケースでお伝えできればと思っています。