箱根駅伝には、往路優勝・復路優勝・総合優勝・完全優勝というものがあるのをご存知でしょうか?
何気なく見ている箱根駅伝、意外と知らないルールって多いのですよね。
復路優勝しても、総合優勝しないということも実はあるのですよ。
ということで、往路優勝・復路優勝・総合優勝・完全優勝それぞれの優勝の違いについて、また決め方やルールに関して実際の例を用いてお伝えしていきたいと思います。
また、「往路と復路で優勝しなくても総合優勝することはあるの?」という疑問や、「復路では1位でゴールテープを切ったのに、なぜ復路優勝ではないの?」という疑問を持つ方のために、過去の歴史を振り返りながら、箱根駅伝の総合優勝の決め方について説明していきますね。
初心者はこちらで箱根駅伝のルールや基礎知識を学んでおくと、より観戦を楽しめます。
目次
箱根駅伝の往路優勝のルールや決め方とは?
それではまず、箱根駅伝の往路優勝のルールについて見ていきましょう。
箱根駅伝は1区から10区を各1選手が走り、1チーム10人で競われる大会。
往路はその片道の半分、1区から5区までをたすきで繋ぎます。
往路優勝はいたってシンプルで分かりやすく、往路のゴールである5区に一番早く到着したチームが往路優勝になります。
当然、1区から5区までの総合タイムも1位ということになりますよね。
1区は全チームの一斉スタートとなりますから、単純にゴールした順番が往路の順位となり、復路のスタート順ということに。
5区で1位になったチームには、往路優勝として、賞状とトロフィーと副賞が授与されます。
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箱根駅伝の復路優勝のルールや決め方とは?
さて、少し難しくなってくるのが、復路優勝と総合優勝です。
往路が前半の1区から5区までということは、復路はその残りの6区から10区までの区間ということになりますね。
それでは復路優勝について見ていきましょう。
先ほど、「往路の順位が復路のスタート順」と書きましたが、復路のスタートには次のようなルールがあります。
- 往路1位から10分以内にゴールしたチームは、そのタイム差でスタートする。
- 往路1位から10分以上離されているその他のチームは、往路1位のチームがスタートしてから10分後に一斉にスタートする。
つまり、(1)は往路1位のチームから優先的にスタートするという意味になり、(2)は例えば往路1位のチームから11分遅れたチームも20分遅れたチームも、往路1位のチームがスタートしてから10分後に一斉にスタートする、という意味になります。
そうするとどうでしょう?
全チームが同時にスタートしているわけではないので、正確なタイムが見た目では分かりませんよね?
区間賞も同様に、7区や8区などを1位で通過した選手よりも、後から通過した選手の方がその1区間を見るとトップになるということも大いにあります。
現に、2017年の箱根駅伝においても、記録には残らないオープン参加の関東学生連合の東京国際大学・照井明人選手が10区を参考記録ながら14位で通過しましたが、10区を走った選手の中で最も速い選手となりました。
それを踏まえると、往路の最終10区を1位でゴールしても、往路のスタート6区から10区までかかった総合的な時間を見ると、他のチームが速かったというケースがあるのです。
その場合は、たとえ10区を1位でゴールしても復路優勝とはならないのですよ。
あくまで、「6区から10区までたすきを繋いでゴールした時間」が、復路優勝の基準になるというわけなんですね。
往路優勝と同じく、復路優勝をしたチームには、賞状とトロフィー、副賞が授与されます。
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箱根駅伝の総合優勝のルールや決め方とは?
それでは最後に、肝心の総合優勝について見ていきたいと思います。
箱根駅伝の最終的な順位は、往路と復路を合計したタイムで決まります。
2017年3連覇を果たした青山学院大学は、往路でも優勝して復路でも優勝したため、見た目通りの総合優勝となりましたが、過去には往路優勝、復路優勝、総合優勝が別々の大学だったことが8回(第2回・第13回・第22回・第50回・第58回・第71回・第82回・第95回)ありました。
そのうちの第82回大会(2006年)を参考に見ていきましょう。
この年の往路優勝は順天堂大学、復路優勝は法政大学、総合優勝は亜細亜大学でした。
往路の成績は次の通りです。
- 1位 順天堂大学 5時間33分26秒
- 6位 亜細亜大学 5時間36分17秒
- 15位 法政大学 5時間41分22秒
往路は全ての大学が一斉スタートしているので、順位は往路の最終5区に到着した順となり、往路優勝は、順天堂大学ということになります。
次に、法政大学は往路で15位という成績でしたが、トップの順天堂大学から10分以内にゴールしています。
復路スタートのルールは先ほど説明したとおり、「トップと10分以内のチームはそのタイム差でスタートすること」、でしたよね。
これを法政大学に当てはめると、復路はトップの順天堂大学とのタイム差である7分56秒遅れでスタートを切ったということになります。
およそ8分近い差があると、なかなかタイム差を縮めることは難しいとされているのですが、復路トップスタートの順天堂大学は、8区を走った難波祐樹選手が脱水症状を起こして大失速してしまったのです。
そして後続の駒澤大学、亜細亜大学などに抜かれてしまい、優勝争いからも脱落してしまいました。
その一方で、往路で6位だった亜細亜大学は、復路はトップから2分51秒遅れでスタートしたものの、8区から追い上げ2位に浮上、9区と10区では1位通過を果たしました。
法政大学も往路は16番目のスタートでしたが、10区では7位通過と順位を上げています。
なぜ「通過」という言葉を使うのかというと、往路と違ってタイム差でスタートしている復路は、ゴールした順番が総合順位とイコールになるとは限らないからです。
これは復路優勝のところでも触れていますが、「タイム差」というのがポイントですね。
それでは、復路の成績を見てみましょう。
- 1位 法政大学 5時間32分55秒
- 2位 亜細亜大学 5時間33分09秒
- 10位 順天堂大学 5時間38分41秒
復路だけを見てみると、10区では7位でゴールをした法政大学が一番速かったということから、復路優勝は、法政大学になります。
そして、「総合優勝は、往路と復路を合計したタイムで決まる」、ということでしたよね。
そこで、往路と復路のタイムを合計すると次のようになります。
- 1位 亜細亜大学 11時間09分26秒
- 4位 順天堂大学 11時間12分07秒
- 7位 法政大学 11時間14分17秒
つまり、往路で6位、復路2位だった亜細亜大学が総合タイムで1位となり、総合優勝を勝ち取ったというわけです。
大きなアクシデントや後半での大きな巻き返しなどがない限り、たいていの場合は復路のスタート順で優勝争いが繰り広げられるのですが、安定した速さでたすきを繋いで上位にいることで、往路と復路で優勝することはなくても総合で優勝するということはあり得るということなんですね。
参考 第82回東京箱根間往復大学駅伝競走Wikipedia
別の例を紹介しますと、第89回大会(2013年)では、往路優勝をし、復路でも1位通過して総合優勝を果たしたのは日本体育大学でしたが、復路優勝は総合3位の駒沢大学だったのです。
こうしてみると、なんだか面白いですよね。
箱根駅伝で棄権者が多い理由に関してはこちら
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箱根駅伝の完全優勝と総合優勝の違いとは?
前の見出しで、「総合優勝は往路と復路を合計したタイムで決まる」、つまり往路と復路の合計タイムが一番早かったチームが1位となり、総合優勝になることがわかりました。
総合優勝という言い方のほかにも「完全優勝」という表現も聞いたことがあるかもしれません。
私自身も完全優勝は、総合優勝と同じ意味なのか?違いがあるのか?という疑問を持ったので調べてみました。
その結果ですが・・・完全優勝は、以下の二通りの場合に使うことがあるようです。
- 1.往路と復路でどちらも1位となり優勝すること
(往路で1位&復路で1位=完全優勝) - 2.往路を含む、全区間(1~10区すべて)をトップで通過し、1度も1位を譲らずに優勝すること
(1区1位&2区1位&3区1位&4区1位&5区1位&6区1位&7区1位&8区1位&9区1位&10区1位=総合完全優勝)
どちらにも使われるようなのですけれど・・・2.の全区間1位で優勝する(総合完全優勝)のはなかなか達成できるものではなく、第92回(2016年)の箱根駅伝で青山学院大学が達成し、39年前の53回大会(日本体育大学以来)と言うこともあり、21世紀になって初めての快挙である!!!とニュースで騒がれていたことが記憶に新しいかもしれませんね。
※補足ですけれど、青山学院大学は第91回(2015年)・第92回(2016年)・第93回(2017年)と3年連続で往路と復路で1位となり完全優勝しています。
参考 青山学院大学陸上競技部Wikipedia※ 日テレ公式HPにて、第97回箱根駅伝のサイト内で歴代優勝校が一覧で観られるページがありましたので、参考までにリンクを貼っておきますね!
第1回箱根駅伝~第96回箱根駅伝の総合優勝・往路優勝・復路優勝した大学名とタイムが載っています。
参考 歴代優勝校日テレ
青山学院大学の原晋監督と奥様に関してはこちら
>>>原晋監督(青学)の奥さんはカリスマ寮母?妻の名前や経歴&名言も!
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箱根駅伝の往路優勝・復路優勝・総合優勝・完全優勝のルールや違いまとめ
往路優勝、復路優勝、総合優勝について見てきました。
優勝にも種類があるということを知らなかったので、調べながら私自身勉強になり興味深かったです。
豆知識のようで、実は箱根駅伝を見る上で重要なこのルール、是非、箱根駅伝を見るときに参考にしてみて下さいね。
往路優勝だとか、復路優勝だとか
ハッキリ言ってどうでもいい
総合優勝のみが意味がある!!
東海大おめでとうございます!!!!
原辰徳様
コメントありがとうございます。
「総合優勝のみが意味がある!!」
シンプルで分かりやすいですね!
東海大学、初めての総合優勝おめでとうございます!
初めてということが意外に感じたのですけれど、
記事内に、日テレ・第95回箱根駅伝のサイトの
2018年(第94回大会)までの歴代優勝校が載っているページへの
リンクを貼りましたので、参考までに・・・。
調べるまで私は優勝にも種類があるということを知りませんでしたので、
個人的にはなかなか興味深かったです。